ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「別に」
「っっ、別にって…」
「好きな男を信じたい気持ちもわからないでもないし、あとはお前の好きなようにすれば?一々俺に謝りに来なくてもあいつと宜しくやればいいだろ。俺は関係ねぇし」
並木さんは携帯灰皿に火をつけたばかりの煙草を押し付けると、最後まで一度も私を見ずに店に戻って行った。
“俺は関係ねぇし”
並木さんの言葉が頭の中で木霊する。
痛い…胸が痛いよ……
ツゥっと一筋の涙が頬を伝う。
…ああ、そうか。
私、並木さんのこと好きになり掛けてるんだ。
だから、関係ないって言われて、こんなにも苦しくて。
避けられて、見てもらえなくて、こんなにも悲しいんだ。
私ったら、またもや難しい人を好きになっちゃった。
並木さんの言う通り、私は本物の馬鹿だよ…
「帰ろう」
とりあえず、先輩との関係をちゃんとしなくっちゃ。
カフェに背を向けて路地に向かっていると、
「ちょっと待って!」
平井さんがカフェの制服のまま慌てた様子で店から出てきた。