ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
なんで…どうして…?
さっきあんな風に目を逸らしたくせに。
なんで私を見てるの?
なんでそこまで気に掛けてくれるの?
「いらっしゃいませ」
平井さんの声が聞こえ、肩をビクッと揺らした。
私の意識が並木さんからそっちに集中する。
2人のやりとりの後、足音がゆっくりと近付いて来て、
「お待たせしてすみません」
美緒さんはソファの席に腰を下ろした。
平井さんが「ご注文は?」と尋ねる。
「ここはラテアートが人気なんです。望月さんも同じのでいいですか?」
多分、美緒さんは私が此処に来るの初めてだと思ってる。
まさか先輩と此処に来たことがある、なんて夢にも思ってないだろう。
「は、はい…」
声が掠れる。
目の前に座った美緒さんを見れなくて、俯いて膝に置いた手をじっと見つめた。
それから平井さんがカフェラテを運んでくるまでの数分の間、何も会話はなく。
先に口を開いたのは、美緒さんだった。
「急に電話してごめんなさい」
学園祭の時に先輩と話してた彼女とは全く別人のような消沈した声の美緒さん。
私のせいで、何の罪もない彼女が傷付いてると思うと酷く心が痛む。