ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


「今日お呼びしたのは、トシのことです」

「…はい」

「最近、トシの様子がおかしいことに気付きました。妙にソワソワして携帯を気にしたり、私といても心ここに在らずで…」


多分、美緒さんの最近というのは初めてキスをしたあの日からのことだと思う。

一歩踏み出してしまったあの時から、電話の回数が増えたり、外で手を繋いだり、誰かに見られるかもしれない学校でキスをしたりと、少しずつ大胆になってきていたから。


「すぐにピンと来ました。もしかしたら浮気してるんじゃないかって」


美緒さんの声は、少し震えていて今にも泣いてしまいそうな感じだった。


まだ怖くて顔を上げられない私は、本当に意気地なしで卑怯だ。

今でも、どうしたらこの場から逃げられるか、なるべく穏便に済ませられるかなんて考えてしまう自分が嫌い。


「そんな時、トシが後輩に学園祭に誘われたって聞いて思い出したんです。卒業式の日、告白されたって話を」


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