ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「すぐにあの告白の子が貴方だとわかりました。あれから、トシは貴方を探すように始終キョロキョロしていたし」
私の前で涙を見せないのは、美緒さんのプライド。
それを強く感じて、言葉にならない。
「学園祭の後、耐え切れなくて…私から別れを切り出したんです。これで少しでも引き止めてくれなかったら、すっぱり身を引こうって」
「そ、それで…先輩は何て…?」
「…必死で、考え直してくれって…」
私の中の、何かが、ガラガラと音を立てて、崩れた瞬間、だった…
先輩は、私に嘘をついてた。
やっぱり、私は所詮浮気相手で。
最初っから一番になんて、なれるはずがなかったんだ。
何を…夢見ていたんだろう。
暫しの沈黙のあと、美緒さんが「望月さん」と姿勢を正した。
「お願いします。トシを忘れて下さい。勝手なお願いだとわかってます。だけど、私にはやっぱりトシが必要なんです」
美緒さんはテーブルに額がつきそうなぐら頭を下げた。