ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
彼女の行動に、ホールにいた全員が驚いようで、空気がピタッと止まる。
「浮気をするような男でも愛してるんです。トシも馬鹿だけど、私の方が何倍も馬鹿ですよね…」
ははっと自嘲の笑みを浮かべる美緒さん。
敵わないと思った。
私には出来ない。
憎き浮気相手に頭を下げることも、浮気されても彼を心の底から愛し続けることも。
私と美緒さんとでは、“好き”の大きさも質も違うんだ。
こんなに純粋で強くて素敵な女性を、これ以上私の我が儘で傷付けることなんて出来ない。
ふと、窓に映る並木さんに目をやる。
カウンターの中から、心配そうな眼差しで私を見つめてくれている。
それだけで、心が温かくて。
勇気が湧いて来る。
「謝るのは私の方です」
真っ直ぐ、美緒さんの涙で濡れる瞳を見つめる。
「一目惚れでした。かっこ良くて、頼りになって、優しい先輩が大好きで。彼女がいるって知ってても、諦められなかった」