ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
先輩はその時、何を思っていたんだろう。
寂しくて寂しくて仕方がなかった?
それとも、美緒さんに対して気持ちが冷めていった?
きっと先輩は、前者だ。
寂しさを埋めるために、私とデートを重ねた。
「自分が一番許せません。誰よりも大切なトシを、私が遠ざけてしまった。そのせいで寂しい思いをさせた挙句、望月さんも巻き込んで」
「本当にごめんなさい」と俯いた美緒さんの肩は微かに震えていて、私はただ首を振って否定するしか出来なかった。
美緒さんの気持ちが落ち着く頃、カフェの閉店時間も間近に迫り、客は私達だけになった。
話の最中は全く口をつけなかったカフェラテはすっかりぬるくなり、うさぎのラテアートは崩れてしまっている。
それを一気に半分ほど飲み干すと、私はあることをお願いするために「美緒さん」と口を開いた。
「一つだけお願いがあります」
「お願い?」
「最後に一度だけ、先輩に会うことを許して下さい。この気持ちにけりをつけるために、先輩にちゃんと会ってさよならを言いたいんです」