ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


私も椅子から立ち上がると、美緒さんは「話せて良かった」と微笑んで店を後にした。

窓から、その後ろ姿が見えなくなるまで見送る。


心は不思議と穏やかだった。

あれほど好きだった先輩を「忘れて」と言われたのに、思ってたよりも辛くない。

そう…もう先輩のことは“好きだった”の過去形なんだ。

心変わりが早過ぎて最低だと思う。
だけど、私の中では別の存在が大きくなっているのが事実。

でも、その気持ちをまだ言葉にしてはいけない。

最後に先輩と話して、終わりにするまでは。


私は残りのカフェラテを流し込むと、鞄を持ってレジに向かう。

レジにはハルさんがいて、眉を下げて若干目を潤ませていた。


「お騒がせしてすみませんでした」

「恵里奈ちゃん…」

「おいくらですか?」


ハルさんは「あ…」と口を開き掛けたけど、言葉を飲み込んでレジを打ち始める。

残りの自分の分の会計を済ませると、カウンターの方から視線を感じて目を向けた。



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