ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
並木さんは悲しげに視線を落とすと、あのさ、と珍しく言いにくそうに言葉を濁した。
「お前…平気か?」
「…平気じゃないです」
平気なわけ、ない。
先輩のことは、ちゃんと気持ちの整理が出来てる。
美緒さんと話せたことも、私の中では大きな前進だった。
ただ一つ、全然平気じゃないこと。
それは、並木さんの曖昧な態度。
並木さんは口が悪いけど、実は優しい人だってわかってる。
だけど、並木さんは私のことなんて興味もないし。
私がどうなろうと関係ないって、そう言って突き放したんだよ…?
今日、私が店に入った時だって迷惑そうに顔を歪めてすぐに目を逸らしたじゃない。
なのに、どうして並木さんは心配そうに私を見ていたの?
どうして、私を追ってきたりしたの?
関係ないなら、心配しなくていい。
こうやって追ってきたりしなくていい。