ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


「送るからここで待ってろ」

「…ぃ、や」

「は?」


店に一旦戻ろうと背を向けた並木さんは、怪訝そうに振り返った。


「送ってくれなくていいですっ!一人で帰れますから」

「一人でって…お前なぁ、こんな遅くに制服姿の女子高生がベソかきながら歩いてたら、どうなるかぐらいわかんだろ?」


呆れたように、溜め息混じりに言う並木さん。

ズキッと胸が痛む。
並木さんの言い方一つで、こんなに苦しくなるなんて…

私はいつからこんなに並木さんのことが好きになっていたんだろう。


「…もう、放っといてくれませんか?」


本来なら素直に送られておけば、少しは可愛げがあるかもしれない。

だけど、並木さんの前だとなかなか素直になれなくて、つい意地を張ってしまう。

こんな可愛げのない面倒臭い私を、誰が“一番”なんかにしてくれるだろうか。

美緒さんみたいな女性だったら、私も並木さんの“一番”にしてくれるかな…



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