ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


あんなに怖い人を睨み一つでやっつけてしまうなんて…

ぽかーん、と槙村さんを見ていると、


「恵里奈さん!大丈夫⁉︎」


平井さんが駆け寄って来て、私の強張る身体をゆさゆさと揺らした。
ハッと我に返って、槙村さんから平井さんに目を移す。

平井さんは眉を下げ、目に薄っすら涙を浮かべている。


「はい…大丈夫、です」

「怖かったでしょ?ホントに大丈夫?」

「ホントにホントに大丈夫です」


私の答えを聞いて、「良かった…」と胸を撫で下ろす平井さんに、心が温かくなっていく。

なんて優しい人なんだろう。
顔見知り程度の私を、ここまで心配してくれるなんて。


「ったく、なんでお前が泣きそうなんだよ」


槙村さんは呆れたように言うものの、さっきの険しい表情とは打って変わって、微笑みながら愛おしそうに彼女を見つめている。


平井さん、凄く愛されてるんだな…

槙村さんを見てるとすぐわかる。
大切で、愛おしくて仕方がないって、槙村さんの全身から感じる。

大きな愛。


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