ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
だけど、
「そろそろ恵里奈ちゃんの可愛い笑顔が見たいんだけど、見せてくれないの?」
耳元で色気たっぷりにそんなことを言われたら、顔を上げないわけにはいかないし…
嬉しくないわけないじゃない。
ゆっくりと顔を上げる。
恥ずかしさと少しの悔しさが入り混じって、視線を少し逸らしてしまう可愛くない私。
こんな時、素直に真っ直ぐと目を見れるような女の子だったら、私は先輩の一番になれたのかな。
「笑って?せっかく久しぶりにこうして会えたんだから」
ふんわりと柔らかく微笑む先輩に、この人には一生敵わないって思う。
「…先輩がこんな意地悪だとは思いませんでした」
少しの反抗をしてみるけど、先輩はそれを楽しんでるようで「それはどうも」と白い歯を見せて笑った。
それから他愛もない会話を楽しむと、映画の時間が近付いてきたのでレジに向かう。
ちょうどレジにいたのは、先輩が来る前に声を掛けてきた副店長の並木さんだった。