ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


だけど、


「そろそろ恵里奈ちゃんの可愛い笑顔が見たいんだけど、見せてくれないの?」


耳元で色気たっぷりにそんなことを言われたら、顔を上げないわけにはいかないし…

嬉しくないわけないじゃない。


ゆっくりと顔を上げる。
恥ずかしさと少しの悔しさが入り混じって、視線を少し逸らしてしまう可愛くない私。


こんな時、素直に真っ直ぐと目を見れるような女の子だったら、私は先輩の一番になれたのかな。


「笑って?せっかく久しぶりにこうして会えたんだから」


ふんわりと柔らかく微笑む先輩に、この人には一生敵わないって思う。


「…先輩がこんな意地悪だとは思いませんでした」


少しの反抗をしてみるけど、先輩はそれを楽しんでるようで「それはどうも」と白い歯を見せて笑った。




それから他愛もない会話を楽しむと、映画の時間が近付いてきたのでレジに向かう。

ちょうどレジにいたのは、先輩が来る前に声を掛けてきた副店長の並木さんだった。




< 14 / 284 >

この作品をシェア

pagetop