ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「百面相してるとこ悪いけど」
槙村さんの言葉に、ハッと我に返る。
クスクスと、笑う平井さん。
うわぁ…恥ずかしい…
百面相って、私どんな顔してた?
一気に赤くなった頬を手で覆い隠す。
「さ、帰りましょ」
「え?でも…」
「卓人さんが今日車なんです。だから一緒に」
「悪いですよ!そんな」
「恵里奈さんは気にしないで下さいね?私達、並木さんに凄くお世話になったんです」
平井さんが「ね?卓人さん?」と槙村さんに同意を求めると、槙村さんも「ああ」と答える。
「世話?」
「ふふ、喧嘩した時にちょっと。だからその恩返しが出来たらと思って。それにもう少し恵里奈さんと話したいし」
平井さんのとびっきりの笑顔に、女の私もドキッとしてしまう。
こんな可愛い人にそんな笑顔向けられたら、男だったら一撃だよ…
槙村さんも大変だな。
私を送ることと並木さんへの恩返しがどう関係するのか、私の頭ではよくわからないけれど。
私ももう少し平井さんと話したくて、お言葉に甘えることにした。