ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「ほら、行ってきな」
そう言って、見送ってくれた瀬奈。
これから先輩に別れを告げに行く。
その勇気をくれた。
瀬奈と別れ、テニスコートに向かう。
入口の前で一旦足を止めると、携帯を取り出し、連絡帳からあの人の連絡先を探した。
【並木 剛 080-1×××-2×××】
昨日、平井さんが教えてくれた並木さんの携帯番号。
勝手に聞いていいのか迷って一度は断ったけど、『恵里奈さんだったら平気』とよくわからないことを言いながら、メモを鞄に入れられた。
それを捨てないで、ちゃっかりと携帯に登録してしまった私。
緊張で指が震える。
急に掛けて迷惑じゃないかな、なんて思いながらも携帯を耳に当てる。
聞こえてくる数回の呼び出し音、そして。
『ーーもしもし?』
愛しいあの人の声。
「…もしもし、望月です」
『…お前、何で…?』
並木さんは、突然私から電話が来て驚いてる様子。