ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
XI.始まりの予感?
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高校一年、春。
あの日は桜がゆらゆらと舞い、太陽の日差しが何とも心地いい穏やかな日だった。
『うわぁ!あの人、凄くうまいね!』
『あの人って生徒会長でしょ?かっこいいよね』
『素敵ぃ〜‼︎』
見学に来ていた他の一年生は、先輩に憧れの眼差しを向けていた。
『ねぇ、恵里奈もそう思わない?』
『ーーへ?あ、うん…凄く素敵だと思う』
素敵だと思う。
だけど、私の想いと皆の想いは違う。
私のは憧れじゃない。
胸がドキドキと張り裂けそうで、先輩だけが輝いて見える。
初めて抱いた感情だった。
日に日に先輩への想いは強くなっていった。
だけど、大所帯の硬式テニス部。
三年と一年。
なかなか話す機会がなく、見ているだけの日々。
そんなある日。
『危ないっ‼︎』
え……?
コートの外でボール拾いをしていると、突然先輩の大きな声が聞こえた。
それとほぼ同時に、後頭部に感じた強い衝撃。