ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
だけど、ほんの少し先輩への想いの欠片が残ってることもまた事実。
あんなに好きで好きで堪らなかった先輩を、簡単に忘れられるはずがない。
この想いは、恋愛と似た、情。
それも全てさっぱり忘れるために、今日きちんと別れを言う。
「あの日…俺、わざと狙ったんだ」
「え?わざと?」
「望月さんと話したくて。ギリギリ当たらないように狙ったんだけど、的中しちゃって」
「話したいってなんでですか?」
「入部してきた時から可愛いなって思ってた。周りの奴からも人気で、少し焦ったんだ。美緒がいるのに、俺は望月さんに惹かれていった」
ミルクティーの缶をぎゅっと握り締める先輩。
いつもしっかりしてる先輩が弱々しく見える。
「頭ではわかってた。美緒がいるのに、他の女を好きになるなんて駄目だって。だけど、美緒と離れることも、望月さんを諦めることも出来なかった」
すると、先輩が私の方に向いて、瞬きもせずに私を見つめてくる。