ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
先輩が臨時コーチとして来るのは今日が最後。
先輩は何も言わないけど、多分私とはもう会わないように、美緒さんへの配慮だと思う。
「もう会うことはないって…寂しいこと言うなよ」
切なげに言う先輩に、何故か涙がジワリと滲んでくる。
「会わない方がいいんですよ。自分達の為にも、私達を信じてくれてる人の為にも」
先輩は美緒さんの為に、私は心配してくれてる瀬奈や並木さんの為に。
もう同じ過ちを犯してはいけない。
「そう、だな」
「もう駄目ですよ?私みたいな馬鹿な女に捕まって美緒さんを泣かせたりしたら」
わざとニヒヒッと笑う。
こうして無理矢理表情を作らないと、涙が零れてしまいそうだった。
「望月さんは馬鹿な女なんかじゃないよ」
「先輩…」
「馬鹿なのは俺。ごめんな?俺のせいで沢山辛い思いをさせて、沢山泣かせたよな」
「っっ」
ぶんぶんと頭を振る。
確かに沢山泣いた。
辛いことも沢山あった。
だけど、決して全てがそうであったわけじゃない。