ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


目を瞑って先輩との思い出を思い返すと、浮かんでくるのは先輩のあの眩しい笑顔と。

隣りで頬を赤く染めて微笑む私。


幸せな時期も確かにあった。


空を見上げる。
黄金色に輝く夕焼け雲が眩しくて、思わず目を細めた。

気持ちはスッキリしたはずなのに、なんでこんなに切ない気分になるんだろう。


「そろそろ行こうか」

「はい…」


ゆっくりと立ち上がり、向かい合う。


先輩は微かに微笑むと、右手を差し出した。

がっしりとした大きな手に、一回り小さい私の手を重ね合わせる。


「相変わらず、ちっさい手だな」

「先輩の手は、相変わらず硬いですね」


ふふ、と関係が気まずかったこの数日間が嘘のように自然に笑い合う私と先輩。


「…さようなら、望月さん」

「さようなら。先輩…」


名残惜しく離された手をぎゅっと握って、その拳に誓う。

もう二度と同じ間違いはしない、と。



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