ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「あっ!この前の学園祭の時の…」
先輩がそう言うと、並木さんはジロリと先輩に目を向ける。
「一発、殴っていい?」
「「え?」」
ーーーーーードゴッ!
並木さんの意味わからない言葉に、先輩と私の声が被る。
それとほぼ同時に、繰り出された並木さんのパンチが先輩の頬に思いっきり入ると、先輩は後方に倒れ込んだ。
「ゔっ…」
「先輩っ‼︎‼︎」
すぐさま倒れた先輩に駆け寄る。
先輩の口からは一筋の血が流れ、頬はすでに赤く腫れ始めていた。
「並木さん!なんでこんなこと、」
「お前は黙ってろ」
やや怒ったような低い並木さんの声に思わず身体が強張った。
「望月さん、大丈夫だから」
先輩は手の甲で血を拭い立ち上がると、深々と並木さんに頭を下げた。
「ちょっと先輩っ!」
突然の先輩の行動に、慌てて止めに入る。
先輩は意味もわからず殴られただけで。
頭を下げるのは先輩じゃなく並木さんの方なのに。