ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


なんで怒ってるの?
私、何か先輩の気に障るようなことでもしたかな…?

さっきまで本当にいい雰囲気だったはずなのに。


必死に思い返しても、先輩を怒らすようなことをした覚えが全くない。


店の扉が閉まる直前で振り返ると、並木さんは次のお客さんの会計の真っ最中だった。




店を出てからというもの、何も話さず、振り向きもせずに、私を引っ張って前を歩く先輩。

私はそんな先輩に小走りでついて行くのがやっとで、そろそろ息が上がってきそうなほど。


気が付くと、映画館とは全然違う方向に向かっていて慌てて先輩に声をかける。


「せ、先輩っ!映画館こっちじゃないですよ…!」


だけど、先輩は止まることなく、その足は細い路地に入った。


カフェを出たのは11時半頃。

今日は雲もないぐらいの晴天で、眩しいほどの太陽が降り注いでいるというのに
、狭い路地裏は建物の影でやや薄暗い。


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