ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
ここに来て気付いたこと。
それは、並木さんはモテるということ。
すれ違う女性達が頬を赤く染めて振り返ったり、私が隣りを離れると声を掛けてきたり。
ほら今も、並木さんを見てきゃあきゃあ騒ぐ二人組が。
当の本人は気付いていないのか、気付いてるけどスルーしてるのかわからないけれど。
そんな女性達にヤキモチを焼く私もどうかしてる。
だって、皆綺麗で大人で、高校生の私なんかよりも数倍並木さんの隣りが似合う人ばかりだから。
私なんてただのガキンチョ。
相手にしてくれるわけがないって思い知らされる。
「そうだ、並木さんはどうして今日広場にいたんですか?」
暗くなる気持ちを振り払うように、話題を変える。
「ハルに呼び出された」
「ハルさんに?」
「今日は食器とか料理器具のバーゲンがあるから、卓人と買い出し行ってくれって」
「そうだったんですか」
「あいつら、明日はただじゃおかねぇ」
不機嫌そうに言う並木さんに、苦笑いが漏れた。