ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
並木さんは、わりぃ、と私に断ってから電話に出た。
聞いてはいけないと意識を別に向けるも、隣りに座ってる以上聞こえてしまう。
並木さんは時折笑い、楽しそうに話していて、見えない電話相手にまたしてもむくむくとヤキモチが沸き起こってくる。
仕舞いには、
「ああ…わかったよ、ナナ。明日な?」
並木さんの口から出た名前に、私の心臓が凍り付いた。
“ナナ”
女性の名前…
並木さんがこんなに親しげに女性と話すなんて、彼女…とか?
やっぱり、いないはずがないよね。
だって、並木さんはイケメンだし、口は悪いけど凄く凄く優しい人。
モテるに決まってるもん。
ああ、私。
また彼女のいる人を好きになっちゃったんだ…
そもそも、私なんて相手にしてもらえるわけがないのに。
なんでかな…なんで私は、一番になれないんだろう。
好きにならなきゃ良かった。
こんなに辛いなら、並木さんに出会いたくなかったよ…