ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
XIII.一番の恋
カラン、カラン。
「すみません。今日はもう閉店…って、剛と恵里奈ちゃんじゃない!どうしたの?」
私達がカフェに入ると、カウンターで仕事をしていたハルさんが目を見開いて立ち上がった。
「悪い。キッチン使うぞ」
「え?それはいいけど…」
「お前、そこ座ってろ」
並木さんは私をカウンターに座るように促すと、すぐにキッチンに入っていく。
「何かあったの?」
私達の間に流れる重苦しい空気に気付いたハルさんは、並木さんがいなくなるとすぐさま私に駆け寄ってきた。
何事かと、心配そうに眉を下げるハルさん。
「私、我が儘言っちゃって…並木さんを怒らせてしまったみたいで…」
「恵里奈ちゃん…私、余計なことしちゃったかしら。二人が仲良くなる機会になればと思ったんだけど」
「いえ、そんなことないです。最初は戸惑ったけど、今日一日並木さんといられて、良い思い出が出来ました。悪いのは全部私です」