ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


私が我が儘を言わなければ、最後の最後で良い思い出が出来て、すっぱり終われたかもしれないのに。

私ったら、本当に馬鹿だよ。


「私、もう帰るわね。二人はもう少し、きちんと話した方がいいと思うの。多分、剛もそのつもりでここに連れて来たんだと思うし」

「きちんと話す?」

「昔から、剛は何でもかんでも言葉が足らないのよね。だから誤解されやすいの。わかってやってね」


ハルさんはぽんぽんっと私の肩を軽く叩くと、一度スタッフルームに荷物を取りに行き、「戸締り宜しくね」と言って店を出て行った。


シーンっと静まり返る店内。
日中の賑やかさが嘘のようだ。


私はカウンターに座ると、ハルさんの言ってたことを思い出した。

私が並木さんのことで、何か大きな誤解をしてるんだろうか。

きちんと話すって、一体何を話せばいいの?



ハルさんが帰ってから数分後。
ほのかに甘い香りが店内に漂い始めると、並木さんがお皿片手にキッチンから出てきた。




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