ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
ふぅ、と煙を天井に向けて吐き出しながら、並木さんはニヤッと不敵な笑みを浮かべた。
「ゔ…ごめんなさい…」
もう嫌だ…
穴があったら入りたい。
早とちりもいいとこ。
自分で自分が恥ずかしいよ…
怖ず怖ずと、並木さんに目をやる。
あのいかにも意地悪そうな顔。
馬鹿とかガキとか泣き虫とか言われるんだろうな。
並木さんは短くなった煙草を灰皿に押し付けると、「お前さ」と私を見据えた。
「鈍感って言われるだろ」
「…は?」
暴言を吐かれると思って身構えていたのに、聞こえてきた言葉は思いも寄らないもので。
思わず間抜けな声が出てしまった。
なんで今、このタイミングで?
全く意味がわからない。
「ホントだな。柚姫ちゃんの言った通り」
「どういうことですか?」
「この前、柚姫ちゃんに怒られたんだよ。はっきり言わないと伝わらないって」
並木さんは、後ろの棚に凭れ掛かり腕を組むと口を開いた。