ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
無数の涙が頬を流れる。
嘘みたいで、信じられなくて。
夢を見てるのかなって思ってしまう。
「う、嘘…冗談はやめて、くださ…」
「嘘でも冗談でもない」
「わた、私…っ、馬鹿ですよ…?すぐヤキモチ焼く、し…すぐ泣くし…ひっく…」
「知ってる」
「子供で、っ…素直じゃないし」
「何を今更」
並木さんは、ふっ、と笑いながら言うと、カウンターを出て私の隣りの席に座った。
そして、私の椅子を自分に向き合うように回転させると、額と額をコツンと合わせ、そっと優しく右頬を大きな手のひらで包んだ。
「っ…私は、何番目…?もう二番目は…ひっく…い、嫌…」
「馬鹿。お前しかいない。お前以外、考えられない」
「並木さん…」
「ずっと嫉妬で狂いそうだった。あいつを想って一喜一憂するお前の姿に、何度壊してやりたいと思ったか」
拳一つ分の至近距離。
並木さんの真っ黒の瞳に私が写っている。
感じる息遣いも額と頬から伝わる体温も、全てが愛おしい。