ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「冗談。そんなに怒んなって」
「別に怒ってなんていません」
「意地っ張りな奴」
「それはーー」
お互い様、と口を開き掛けた時、絶妙なタイミングで口の中にふわっと柔らかい何かが入り込んで、思わず言葉を飲み込んだ。
ふわふわのパンケーキと、とろけるように甘い滑らかな生クリーム。
おまけで着いてきたのは木いちごだろうか。
ほんの少しの酸っぱさが良いアクセントになっている。
それはすぐに口内の中に広がり、一瞬で意地っ張りな私の心を幸せに満たしてくれた。
「美味し…」
「当然だろ。俺が作ってんだから」
自信満々に言い放つ並木さんに、何も言い返せない。
だって、本当にその通りだと思うから。
こんなにも美味しくて、美しくて。
口にした誰もが幸せになるスウィーツを作ってしまう、魔法の手。
私なんて、軽い中毒症になってるもん。
何かあると並木さんのパンケーキが食べたくなる。
これを食べると、心が落ち着いて冷静になれるし。
優しい気持ちになれるんだ。