ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
相手は17歳の高校生。
13歳も離れたガキに、俺は本気で溺れてる。
最初はバカでうるさいガキだと思ってたのにな。
まさか、自分がこんな風になるなんて思いも寄らなかったーーー。
恵里奈が初めて店に来た日、“パンケーキを全然食べない客がいる”と、スタッフがカウンターで話してるのを聞いて気になって声を掛けた。
俺の自信作のパンケーキを一口も食べないなんて、余程の味音痴だろ。
それとも、食べない理由があるなら聞かせてもらおうか。
いつものように接客スマイルを浮かべて俯いたままの客に声を掛けると、上げた顔を見て俺は息を飲んだ。
なぜなら、俺が恵里奈と会ったのはその時が初めてじゃなかったからだ。
あれは確か、9ヶ月前の今年2月。
空が夕焼けで燃えるように紅く染まる頃。
自宅の最寄り駅のホームで、電車を待っている時のことだった。
『おばあさん、大丈夫ですか?荷物お持ちしますよ』
電車がホームに到着し、忙しない夕方の時間というだけあって乗客がゾロゾロと降りてくる中、心配げな声が聞こえた。