ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
『急いでるんだったら送ってこうか?俺車だから乗っけてってあげるよ』
『そうだよ!そうと決まれば、ほら』
男は恵里奈の腕を掴み、無理矢理引っ張っていこうとする。
『ちょっ!離して下さい…!』
『まぁまぁ、変なことはしないし?』
『大人しくしてたらの話だけどな』
ギャハハッと胸くそ悪い大きな笑い声が辺りに響く。
見て見ぬ振りのサラリーマン。
怪訝な表情で見るも、何もしないおばさん。
『はぁ、くそっ…』
この前一度見かけただけの見知らぬ女子高生。
俺が助ける義理もない、が。
俺はなんでこんなに気になるんだろう。
俺の足は恵里奈の元へ進み、
『なぁ、嫌がってんのわかんねぇの?』
ほぼ無意識に、恵里奈の腕を掴んだままの男の手を恵里奈から無理矢理引き剥がし捻り上げていた。
『てめぇ!何すんだよ!』
『あ?それはこっちの台詞だろ?この子、困ってんじゃねぇかよ』
『関係ねぇだろ、おっさん』
『関係なくないね。目の前で下手なナンパ見せられた挙句、気持ちわりぃ笑い声聞かされて、不愉快なんだよ』