ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「恵里奈ちゃん、いた…?」
「いや…」
「そう…無事に瀬奈ちゃんと合流出来てたらいいんだけど…」
落ち着かない様子でその場をウロウロ動き回るハル。
その言葉に、抱き合う二人の姿が脳裏によぎり顔を顰めた。
30年生きてきて、一度も経験したことのない痛みが胸を締め付ける。
俺、どんだけあいつに嵌ってんだよ…
京子にも他の女にも感じたことない独占欲に、ふっ、と苦笑いが漏れる。
「剛…?」
「…あいつなら大丈夫だ」
多分、あの様子だと健っていう奴がちゃんと恵里奈を送るだろう。
本当は他の男に送らせたり、そもそもさっきみたいに触られるのだってムカつくところだけど。
今、俺が恵里奈に無理矢理会いに行っても、あいつは俺を拒否するだろう。
今日は、とりあえずあの男に任せるしかない。
「え⁉︎どういうこと⁉︎恵里奈ちゃんと会えたの?」
意味がわからないと騒ぐハルを置いて、俺はスタッフルームに入った。