ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


卓人の鋭い漆黒の瞳が、俺を睨み付ける。

この瞳と目が合うと、全てを見透かされてるような気がして、俺は咄嗟に目線を逸らした。


「並木さんに限ってないと思いますけど、まさか年の差を気にしてるわけじゃないっすよね?」

「っっ」


痛いところを突かれて、思わず顔を顰めた。


年の差を気にしてないって言っても、実際敏感になっているのは恵里奈よりも俺の方だと思う。

13歳も離れてると色々と恵里奈に我慢をさせてしまう時がある。
仕事を優先したり、夜は仲間と飲みに行く日も多い。
恵里奈が理解しがたいことだってその内出てくるかもしれない。

周りから年の差について何か言われることだってあるだろう。
親、友達、近所の人。
高校生が30に足を突っ込んだ男と付き合ってるなんて、話のネタにする格好の餌食だ。

それに所詮、俺は恵里奈達高校生から見たらおっさん。
若い奴の方がどう見ても、誰から見ても恵里奈にお似合いだろう。

それに、中途半端に年を重ねてる分、俺は変に捻くれてるし、恵里奈や目の前にいる卓人のように素直になれない。

もし、恵里奈の前に同世代の男が現れたら、俺は身を引いた方があいつの幸せの為になるんじゃないかと思う。

ーーそう、健のように。


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