ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
店の裏に停めてある車に乗り、目的地を目指す。
正直、焦りや不安がないわけじゃない。
でも、あいつだけはどうしても手放したくないんだ。
車を走らせること数十分。
車を路肩に停めて電話を鳴らす。
プルルルル、プルルルル…
耳元で何回も繰り返される呼び出し音。
やっぱり電話に出てはくれないみたいだな…それなら。
俺は車から降りると、表札が“望月”であることを確認してインターホンを鳴らした。
【はい、どちら様ですか?】
恐らくお母さんだろう。
恵里奈の声を少し低くした感じの優しそうな声に、緊張で胸が弾んだ。
「夜分遅くにすみません。並木と申します。恵里奈さんは御在宅でしょうか?」
【失礼ですが、恵里奈とはどういう…】
「ご挨拶が遅れました。私、恵里奈さんと数ヶ月前からお付き合いさせて頂いてます、並木剛と申します」
【あら!彼氏さん⁉︎少々お待ち下さい】
プツッとインターホンの通話が切れると、家の中からバタバタと慌ただしい音が聞こえ、ドアが開いた。