ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


その結果が、これだ。
恵里奈が俺の過去で傷付き、不安にさせ、泣かせてしまった。


30にもなると、それなりに経験だって過ちだってある。
京子を含め、付き合った女の数は両手が必要だし、関係だけの女ならいくつ手があればいいかもわからないほどだ。

恵里奈みたいに真っ白な奴からしたら、俺のような人間は理解が出来ないだろう。

年を重ねると、欲のためだけに関係を持つことだってある。

寂しさを埋めるためだけに肌を重ねることだってあるんだ。

今はもう恵里奈以外の女と関係を持つなんて考えられないし、そもそも身体が拒否するだろうけど。
俺の過去を知ったら、恵里奈は俺がまたそういうことをするんじゃないかと不安な気持ちを胸の何処かにいつも抱えてしまうだろう。


掴んだままの恵里奈の手首を強く握る。

本当なら、俺は恵里奈のためにこの手を離した方がいいのかもしれない。

でも…


「悪いけど、それでも俺はこいつを離してやれないんだ」


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