ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


「ったく、相変わらず甘いんだよ。だから恵里奈がこんな男に騙されるんだろ」

「あら、並木さんは騙したりするような人じゃないでしょう。あなたはいつになっても姉離れ出来ないんだから」


健に“こんな男”と指を指され、「あ?」と眉間に皺を寄せると、お母さんの口から予想だにしなかった単語が出てきて更に皺を深めた。

姉離れって…


「母さんっ‼︎俺はただ、父さんの代わりをだな…っ」


母さん…?
……父さんの代わり⁈

………はあぁぁっっ‼︎⁉︎
何だよそれ…ってことは…
健ってまさか、恵里奈の…


「あっ、すみません。並木さんは初めてでしたね。紹介します。一つ下の弟の健です」


恵里奈が俺の困惑した表情に気付いて慌てて紹介すると、ふん、とそっぽを向く健。

いつもなら生意気なガキだとイラッとするが、今はそれどころではない。
恵里奈に弟がいたなんて初耳で、開いた口が塞がらない間抜けな状態だ。


じゃあ何だ?俺は弟相手に嫉妬してムキになってたってことか?


「並木さん、ごめんなさいね。この子ったらお姉ちゃん大好きで、高一になってもシスコンなのよ」

「だからっ!シスコンじゃねぇって!」



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