ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
あくまでも、俺と寝るのは欲求不満解消。
それでいい。
もう、大切な人が離れていく後ろ姿なんて見たくない。
そう、思ってたのに…
「出会ってしまったんだ。お前に」
最初は今時にしては珍しい高校生程度にしか思ってなかった。
でも、恵里奈は街で見掛ける度に泣きそうな顔をしていて。
どうしてかわからないけれど、恵里奈の笑顔を見てみたいと思ったんだ。
「だけど、俺は30のおっさんだしな。恵里奈は高校生。声なんて掛けれるわけがないだろ」
同じ駅を利用していて、早番の日は帰りの時間帯も一緒になるのがわかった。
だけど、俺は恵里奈には声を掛けることも出来ず、ただいつも何処か寂しげな恵里奈を見ているだけだった。
気がつくと、駅で恵里奈を探すのが習慣になっていて、正直そんな自分に苦笑いが漏れた。
そんなある日、恵里奈が初めて店に来た。
不安そうな表情で俺の自慢のパンケーキにも手を付けなかった恵里奈を、一瞬で笑顔にした石川の存在。
悔しかったし、ムカついた。
辛い思いをさせておきながら、笑顔を独り占めするあいつが。
俺はこの時、自覚せざるを得なかった。
恵里奈に対する自分の気持ちを。