ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


『っっ!え、あ…あの……』


予想していなかった先輩の反応に戸惑いの声が漏れる。

それもそのはず。
誰がこんな先輩の反応を想像出来るだろうか。
少なくとも、恋愛の経験が皆無な私には到底無理な話だ。


『あ…ごめん。ちょっと驚いて……』

『いえ…こちらこそ、突然こんなこと言ってごめんなさい…今のは忘れてくれて構いませんから』


とりあえず、もうこの場から早くいなくなりたくて、『聞いてくれてありがとうございました』とお礼だけ言って先輩に背を向ける。

駆け出そうとした、その時。


『ちょっと待って‼︎』


先輩が私の手首を掴み、引き止めた。


ドキッと跳ね上がる心臓。

初めて感じる先輩の手の温もり。
掴まれた手首がジンジンと焼けるように熱い。


『俺、少し…いや、かなり嬉しいんだけど』


そう言って、先輩は更に赤くなった顔を反対の手で隠した。



< 26 / 284 >

この作品をシェア

pagetop