ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
思い返すと、空っぽの毎日だった。
ただ朝起きて、仕事して、飯食って、家に帰って寝る。
義務のような日々。
カフェをオープンさせるという夢はあったし、それなりに友達もいる。
職場にも恵まれてる。
不満なんて何一つない。
だけど、何かが足りなかった。
それを埋めるように、適当な女を抱いて。
結局、足りない何かを埋めることなんて出来なかった。
その、足りない何か。
それが何だか、今ならわかる。
「俺はずっと、温もりが欲しかったんだ」
俺を欲してくれて、俺を愛してくれる。
ただ隣りにいてくれる。
そんな人が。
…俺、こう見えてかなり甘えん坊なのかもしれねぇな。
ややの沈黙。
恵里奈の反応が気になるところだけど、なんとなく気まずくて横を見ることが出来ない。
海風がヒューッと音を鳴らして通り過ぎる。
寒さのあまり、思わず首をすくめると、恵里奈が「無駄じゃないですよ」と呟いた。
えっ?、と恵里奈に目をやる。