ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
準備期間?
俺と恵里奈が、一緒にいる為の?
「私が大人になるまで待っていてくれたんですよね?大人になる前に出会っちゃったけど」
そう言って急に立ち上がると、恵里奈は数歩進んだところで止まって顔だけ後ろを振り返った。
月の光が恵里奈を照らし、顔がほんのり紅くなってるのがわかる。
「って、無理矢理過ぎますかね?」
えへへ、と笑う恵里奈に、心臓が跳ね上がる。
恵里奈は夜空を見上げると、でも、と続けた。
「そう思わざるを得ないんですよ。8年間もの長い年月を、並木さんみたいな人が結婚もせず、恋人すら作らずにいたなんて。まるで、私と出会って恋することが、最初っから決まっていたかのように思えて仕方ないんです」
恵里奈の言葉がすーっと胸に入ってくる。
“最初っから決まっていた”
そう思えば思うほど、俺の過ごしてきた8年が報われる気がする。
「ね?だから、そういうことにしておきまーーっっ‼︎」
そう言いながら恵里奈が振り向く前に、後ろから華奢な身体を抱き締めた。
甘い香りがする首元に顔を埋める。