ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


俺を泥沼から救ってくれたのは、まだ高校生のガキで。
当時、好きだった男に都合のいいようにされて傷付いてる馬鹿な女だった。

だけど、純粋で真っ直ぐで、涙が綺麗で、人を躊躇なく助けることが出来る強さと優しさを持った奴だった。

子供と大人が混じった不安定な恵里奈の表情は、時にドキッとするぐらい綺麗で、時に儚くて。

そんな恵里奈に惹かれたんだ。


「なぁ、恵里奈。ありがとな」

「並木、さん…」


恵里奈の瞳が揺れ、目の淵に涙が滲んでいる。


「馬鹿。そんな目で見んな」

「だって、だって…嬉しいんだもん」


とうとう溢れた涙は、滑らかな頬を伝い顎先から落ちていく。

エンエンと泣き止む様子のない恵里奈をあやす様に頭を撫でて抱き寄せた。


じんわりと全身に染みる恵里奈の温もり。

もう、この体温無しじゃ俺は生きていけないかもしれない。


「もういい時間だな…帰るか」

「…はい」


寂しそうに俯く恵里奈の鼻をつまむ。


「いっ、いひゃいれすよぉ…」

「そんな顔するからだろ?」




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