ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


恵里奈は石川に嫌われないように、捨てられないように、二番目の女としてだいぶ我慢もしてきたし、物分かりがいい女を演じてきた。
それが身に染みて俺にまでそうやってるように見える。

俺は石川じゃないし、恵里奈は二番目でもないんだから、もう少し恵里奈の本心を出してほしい。
前の恋で出来なかった分、たくさん甘えさせて我が儘を言わせてやりたいんだ。


「…私、我が儘言ってますよ。並木さんと一緒にいられるだけで最上級の我が儘です。だから凄く幸せなんです。一番の恋ってこんなに心地良くて素敵なもんなんだなって、並木さんのお陰で実感しました」


えへへ、と恥ずかしそうに、だけど幸せそうに微笑む恵里奈を、思いっきり抱き寄せる。


「並木さん⁉︎」

「いつまで俺は並木さんなの?」

「ふぇ?いつまでって…」

「剛、だろ」


恵里奈は俺の言いたいことがようやくわかったようで、俺の腕の中でビクッと身体を強張らせた。

こいつ、一々反応が可愛すぎだっつーの。


「呼んでくれねーの?」

「ゔ…つ、つつつ…つよ、し……さん?」


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