ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
気持ちが揺らぐ、か。
確かに、俺の中で京子の存在は大きかった。
京子がパリに行ってから数年、俺はイカれたように見知らぬ女を抱いた。
あの頃に京子が戻って来ていたら…
恵里奈に出会う前に同じことを言われていたら…
俺は迷わず京子を受け入れただろう。
京子と生きていく道が俺の進むべき道なんだと。
でも、俺は恵里奈を見つけた。
「揺らがねぇよ。大の大人が高校生相手に本気だなんて笑えるだろ?でもこればっかりはどうしようも出来ない。たまたま好きになった相手が、たまたま高校生だっただけだ」
京子は俺を見据えた後、ふっ、と綺麗な形の唇を上げた。
「可哀想な彼女。本気の剛に捕まったからには一生逃げれないわよ」
「逃がさねぇし」
もし逃げたくなっても離してやらないし、そもそも逃げたくならない程に愛してやる。
「はぁ…ホント剛の俺様には呆れるわ」
「あ?」
「悩んでるのが馬鹿馬鹿しくなってくる」
そう言うと、京子は背凭れに身体を預けた。