ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「私ね、プロポーズされたの」
「プロポーズ?」
「しかも相手は8歳年下の22歳よ?」
「は⁉︎…22⁉︎」
驚きのあまり、つい声を上げてしまった。
プロポーズされたってだけで驚いたのに、その相手がまさかそんな年下だとは思いもしなかった。
「驚いた?」
「…正直な」
「ふふ。私も同じぐらい驚いたのよ」
自分の事を棚に上げて、とは正にこのこと。
俺達の方が年の差があるのに、いざ他人の話を聞くと驚きを隠せない。
「…まだ返事してないの」
「何で?」
「相手は22の男の子よ?こんな30のおばさんよりも素敵な女性なんてそこら中にいるし、未来だって広がってる。無限の可能性があるのに。私なんかのためにその未来を狭めるなんて勿体無いじゃない」
京子は冷めたコーヒーを飲み干すと、ソーサーにカップを置く。
カチャンとなった陶器の音が、何故か切なく聞こえたのは、京子の心が弱っているからだろう。