ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「わかるよ…俺も同じこと思ったし」
京子が悲しい目で、俺に本気なのかどうか聞いてきた理由がやっとわかった。
不安だったんだ。
俺達と自分達のことを重ねていたんだと思う。
「彼ね、パティシエで、私が働く店で18の時から修行してるのよ。まだ成長過程だけど、腕は凄くいいわ。将来有望なパティシエよ」
「そっか」
「最初は可愛い子だなって、それだけだったの。人懐っこくて、笑うと出来るえくぼが少年のようで。でも、仕事になると凛々しい顔つきになって…好きになるのに時間なんて掛からなかった。だけど、彼は8歳も年下。このまま気持ちを伝えなくていい。彼がどんなパティシエになるのか、近くで見てるだけで満足だって思ってたの」
京子は懐かしむように目を細めて微笑む。
その表情から、彼のことが本当に好きなんだと伝わってきて、俺まで口元が緩んでしまう。
「だけど、私の28の誕生日。食事に誘われて、その帰りに手作りのケーキを貰って…好きだって言われて。嬉しかった。まさか彼からそんなこと言ってもらえるなんて夢にも思ってなかったから」