ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
ほんの1、2分の沈黙がやけに長く感じる。
私が必死で“期待”を頭から振り払おうと格闘していると、先輩が『あのさ、』と沈黙を破った。
『は、はいぃ‼︎⁉︎』
突然の出来事に、緊張でつい声が裏返り背筋がぴんっと伸びてしまう。
『良かったら、今度一緒に映画見に行かない?』
『映画、ですか…?』
私は自分の妄想の中にトリップしてしまってるんだろうか。
それとも都合のいいように解釈してるだけかもしれない。
だって、一緒に映画って…それって所謂デートってことでしょ?
最愛の彼女がいる先輩から誘われるなんて、妄想か勘違いかしかないじゃない。
『それは一体、どういう…』
『招待券貰ったんだ。期限ももう切れる頃だから一緒に行ってくれるとありがたいんだけど』
『…その、彼女さんは…?』
『ああ、あいつは予定があって行けないんだ。他に一緒に行く奴もいないしさ』