ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


先輩は多分、昨日彼女が見たがってるという理由で映画が見れなかったことを謝りたいって言ってるんだと思う。

あの後も元気な振りを続けていた私に、ずっと気を遣ってくれてたから。


「もう気にしないで下さい」


確かに悲しかったし、嫉妬したけど。

それ以上に楽しいこともたくさんあった。


先輩の私服を選んだり、初めてプリクラを撮ったり。
手を繋いで街中を歩くなんて、私達の関係じゃ絶対に出来ないって諦めてたけど、ほぼ一日中繋いでられたし。


映画館でただ隣りに座ってるだけの時間よりも、普通のカップルのようなデートが出来て嬉しかったんだ。


『でも、それじゃ俺の気がすまないんだけど』


私が何度断っても、何か埋め合わせをさせて、と引かない先輩。


一つだけ、お願いがある。

だけどこんなこと、言ってもいいのかな…


『ん?何かある?』

「あの……これから会う時はずっと……」


恥ずかしさと、こんな事をお願いして大丈夫なんだろうかという不安で、声がだんだんと弱く小さくなってしまった。



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