ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


『ごめん、聞き取れなかった。もう一回言ってくれる?』

「だから、そのぉ…」


ええい!もういい‼︎
どうにでもなっちゃえっ‼︎


「これから会う時は昨日みたいにずっと手を繋いでいたいです!」


少しの間も開けず、一息で言い切った。


手を繋ぐなんて、秘密の関係の私達には危険な行為にしか過ぎない。

手を繋いでなかったら一緒にいた所を見られたっていくらでも言い訳が出来るけど、手を繋いでたら一発でアウト。
言い訳のしようがない。


昨日ずっと繋いでくれてたのは、先輩のせめてもの報い。

なのにこんなことをお願いしちゃうなんて、図々しいにも程がある。

それは先輩の反応からも見て取れて、


『……』


何も言わない先輩に、後悔が押し寄せてくる。


「あ、あの…先輩。やっぱり今のーー」


なしにして下さい、と続けようとした、その時。


『はああぁぁぁっ…』


と、盛大な溜息が聞こえた。


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