ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
どうしよう…
本気で先輩のこと怒らせちゃったかもしれない。
手を繋ぎたいだなんて、やっぱり図々しいお願いだったんだ。
そんなの、よく考えたらわかることなのに…
不安と後悔で、涙がじわりと滲む。
やだよ。嫌われたくない。
もう絶対に欲張らないから、我が儘言わないから。
私から離れていかないでーーー。
次の言葉を聞くのが怖くて目をギュッと瞑ると、先輩は私の胸の内とは正反対の言葉を口にした。
『…なんでそんなに可愛いの?』
一瞬、自分の耳を疑ってしまう。
あと少しで零れそうだった涙はピタッと止まり、頭の中は予想外の展開に思考が停止した。
何…先輩…
今何て言ったの……?
『ーー聞いてる?』
「っっ!ふぇ⁈」
心なしか、少し怒ったような先輩の声にハッと我に返る。
『そういう可愛いこと、他の男に絶対言うなよ?』
「言うわけ…ないじゃないですか」