ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「ほけーっとって…恥ずかしいから忘れて下さい」
「なんで?可愛かったのに」
「可愛くなんかないです。そんな顔、マヌケ過ぎて……先輩に見られたくなかった」
先輩から顔を逸らし俯いた。
マヌケな顔を見られた恥ずかしさもそうだけど。
それよりも、先輩が私を見つめながら少しずつ近寄ってくるせいで、緊張と胸の苦しさで顔を逸らさずにはいられなかった。
「こっち向いて」
先輩のつま先が私の視界に入る。
10cmほどの距離に先輩がいると思うと胸が急速に高鳴り始めた。
「恵里奈?」
なかなか顔を上げられないでいると、先輩は私の肩に手を当てて、すぐ後ろにあった体育館の外壁に背中を押し付けた。
細長い指で顎をグッと持ち上げられる。
先輩の顔が思ったよりも近くにあって、思わず息を飲んだ。
「会いたかった…」
「せん……ぱい…」
色っぽい瞳で真っ直ぐに見つめて来る先輩。
顎にあった手は私の頬を包み、目を逸らそうにもそうさせてもらえない。