ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「覚えてる?お仕置き、 覚悟しろよって」
えっ、と開き掛けた唇は、言葉ごと奪い去るような甘いキスに塞がれて言葉にならなかった。
触れるだけのキスから、角度をかえて啄ばむようなキスに変わる。
ここが学校だとか、誰か来るかもしれないとか。
最初は脳裏に浮かんだことも、キスが深くなるにつれてどうでもよくなっていく。
もっと、もっと…
先輩に触れていたい。
先輩に触れてほしい。
少しの隙間でさえももどかしくて、その隙間を埋めたくて。
求めるように先輩の首に腕を回した、その時。
ーーーーーバタンッ。
割と近くから扉が閉まる音が聞こえてハッと我に返った。
先輩も私もビクッと肩を揺らすと、咄嗟に唇を離す。
「先ぱーー」
「静かに」
先輩は私を壁と自分の間に隠すように抱き締めて、周囲を警戒しながら身を潜めている。
耳に当たるのは想像よりも広い先輩の胸。
やや速い鼓動が私の鼓膜を震わせて。
こんな危機的状況なのに、幸せを感じてしまう私は相当ヤバイと思う。
扉から出てきた足音は、次第に遠ざかっていった。