ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


「もう大丈夫」


そう言って、私から離れようとする先輩の服の裾をキュッと掴む。


離れたくない。
もうこの時間が終わりだと思うと、寂しさが一気に溢れてくる。


「恵里奈ちゃん…」


困ったように呟く先輩。

困らせたいわけじゃない、だけど。
先輩を知る度にどんどん欲張りになる。


どうして先輩は私のものじゃないんだろう。

こんなに好きなのに…
この想いは彼女にだって負けないのに。


すると、裾を掴んだ私の手を先輩が優しく包み込んだ。


「約束だろ?手を繋ぐって」

「先輩…」

「今は皆を待たせてるからもう戻らないと駄目だけど、この後近くで待ち合わせて何処か行こうか」

「いいんですか…?」

「いいも何も、俺がもっと恵里奈ちゃんと一緒にいたいから」


胸がギュッと締め付けられる。

先輩も、彼女とではなく私と一緒にいたいって思ってくれてることが何よりも嬉しい。


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