ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


「その時はさ、ずっと手繋いでような」


そう言って微笑む先輩が愛しくて、先輩の首に腕を回して抱きついた。

自分でも大胆な行動だと思う。
だけど、幸せな気持ちが爆発して自分を止められなかった。


先輩は、はは、と笑いながら、「甘えん坊だな」と抱き締め返してくれた。



□■□



「で?何してたの?」


部活が終わり部室で着替えていると、瀬奈が周りを気にしながら耳打ちしてきた。


「何って?」

「片付けの時よ!石川先輩と二人で椅子返しに行ったのはいいけど、なかなか帰って来なかったじゃない。何かあったんでしょ?」

「まさか!何もないよ。ただ倉庫に立て掛けてある他の折り畳み椅子が倒れてたから、それを直しながら片付けて遅くなっただけ」

「ホントに?」

「本当だって」


遅くなったのは遠回りをしたからだけど、椅子が倒れてたっていうのも嘘じゃない。

数脚だけど倒れてたのは確かで、そこにサッカー部顧問がたまたま来て直してってくれと頼まれた。



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